悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
現実はそうではない。
ステファニーは王宮に通ってくるだけだ。時々王太子がふらりと現れるが、特にすることはないので、侯爵家にいるのと同じように過ごしている。
つまり、小説を書いていた。

侍女が出入りしたり、近衛騎士がいたりするので部屋着というわけにはいかないが、書く道具を持ち込んで侯爵家にいる時と同じように過ごす。
時々、近衛騎士に男心などを質問したり、集中して書くことができて、ステファニーはこの部屋をなかなか気に入っていた。

王宮の侍女さん達には何の恨みもないが、悪役令嬢らしく振る舞うことも忘れない。それだけが唯一、この部屋を与えられている事に対するミッションだった。
< 37 / 62 >

この作品をシェア

pagetop