悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

王太子の計画

この日、ステファニーが王宮の部屋でいつものように過ごしていると、王太子がやって来た。
「なかなか苦労してるようだね。」
美丈夫の微笑みが眩しい。ステファニーは目を細めて
「そう急には性格は変えられませんわ。マリアの為だと思えばこそ頑張れるのですもの。」
と返す。
「昨日、マリア嬢に会ったよ。ケント領の保養園で偶然ね。」
「ぐうぜん、ね。」
ステファニーが苦笑すると、王太子はニヤリと笑う。こんな顔、マリアには見せたくないわ。
「偶然の積み重ねが大事だよ。相手に印象づけるためにも。」
「マリアは頑固なところもあるわ。婚約者候補がいるところで他の男性に目移りするのは避けるのではない?まぁ、元々気になっていたのはあなたの方だから、わからないけれど。」
「気にしてくれていた、というのが本当のことなら嬉しいよ。」
珍しく弱気な発言だったので
「大丈夫、計画はうまくいくわ。グロリス伯爵家の事もね。」
と励ましておいた。
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