悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる

王太子の掌の上

招待客達はそれぞれに王太子に挨拶に行く。
マリアとグロリス伯爵も挨拶をする人達の列の最後尾についた。

マリア達の順番が来ると、王太子テオドロスの表情がそれまでの義務的な微笑みから、心からの笑顔にになった。マリアは緊張していてその変化を感じることができなかったが、周囲の人々は王太子の変化を見て、おや?、と感じる。

婚約者となるはずのステファニー嬢の前で、あからさまにマリアへの好意を向けるのは、バイロン侯爵家にとってあまり好ましくない事なのではないだろうか?
事実、バイロン侯爵や兄のアレスは眉間に皺を寄せて苦い表情で王太子とマリアを見ている。

そこにステファニーが扇で口元を隠しながらゆっくりと近づいて来た。目だけを見てもその感情は読み取れない。

周囲の緊張が一気に高まった。
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