悪役令嬢は友人の恋の行方が気になる
マリアはたしかに不安だったがステファニーの事は信じていた。だから、ステファニーに謝られるようなことは何もない。むしろ感謝しかないのだ。
「作戦はうまくいった。マリアは無事に私の妃になることになったし、ステファニー嬢とロベールも婚約できた。私も3人には感謝している。これからもよろしく頼むよ。」
王太子が謝意を表すと、公務に戻る時刻になり、王太子とロベールは部屋を出た。

ふたたび2人になって、マリアとステファニーは微笑みあう。
「ステファニー、私、王太子妃の勉強、頑張るわ。応援してくれるあなたとロベール様の為にも。」
「そうね、マリアなら素敵な王太子妃になれるわ。もし、誰かにいじめられそうになったら私が助けに来るから、いつでも言ってね。」
「ありがとう、それは心強いわ。ステファニーもロベール様とお幸せになってね。でも、ロベール様は殿下の近衛騎士だから、忙しいのかしら。」
「大丈夫よ。私にはやることがあるから。」
「やること?」
マリアに本を執筆していることを打ち明けると、パァっと明るい顔になる。
「そうなの?それはすごく楽しみだわ!一番最初に私に読ませてくれる?」
「もちろんよ。読んで感想を聞かせてね。ダメ出ししてくれてもいいわ。」
「だめだし?」
「あ、つまらないところを教えてほしいの。」
「ステファニーが書くのだから、そんなところはないと思うわ。でもこれで楽しみができたわ!お勉強も頑張れそうよ。」
「私も頑張って書くわね。」

2人はお気に入りのお菓子を食べながら、いつまでも話していた。これまで会えなかった時間を埋めるように、会話が止まらなかった。
夕方、空が赤く焼ける頃になり、ロベールがステファニーを迎えに来て、その時間にようやく終わりを告げた。
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