【中】今さら、付き合いたいなんて。
「“オシャレ”、似合ってますよ」
「っ……!」
顔に出やすい叶希は、ギクリと聞こえてきそうな表情をして、目を逸らす。
でも、聞き取れるか怪しいくらいの小さな声で反撃してきた。
「……あんたも、かっこいいじゃん」
「……!」
今までの叶希なら、絶対にしない言い方。
「悪くないな……」
思わず、声が漏れる。
「ありがとうございます」
「え?」
呟きを隠す為に、礼の言葉と愛想笑いを付け足した。
ぽかんと俺を見た叶希は、蕩けた目をしたり、眉を下げたり、また百面相を始める。
ころころと変わる表情に、何を考えているんだか、と笑みが浮かんだ。
でもそろそろ、戻ってきてもらわないと。