【中】今さら、付き合いたいなんて。
「叶希さん。これから、よろしくお願いしますね」
何を思って不良デビューしたのか知らないが、言おうと思っていた小言は無自覚の愛嬌で封じられてしまったから、代わりにそう言う。
観賞するように叶希を眺めていると、髪を使って顔を隠された。
「……こちらこそ。まぁ、よろしく」
ぶっきらぼうな声に隠れた弾んだ感情は、少なくとも、叶希もこの再会を悪く思ってないことを教えてくれる。
一度尽きたタイムリミットは、3年分増えた。
逆転した立場が、様変わりした関係が、これからどんな影響を及ぼすかは分からないが……。
このチャンスは、絶対に逃さない。
今度は、一線を越えられるように。
それと、不良を甘く見てる叶希が、痛い目を見ないように。
隣で見守って、手を伸ばし続けよう。