【中】今さら、付き合いたいなんて。
振り返ってじっと見つめられ、上級生に掴まれた手首をさすります。

すると、八雲くんは私に近付いてきて、手首をそっと掴み、観察するように眺めました。




「アザになってはないですね。……メッセージを送るなりなんなりして、お友達にはあそこに戻らないよう言ってください」


「わ、分かった……って、ちょっと!」




観察を終えた八雲くんは、私の手首を離したものの……その下で手を繋いで、引っ張っていきます。

予想外のことにドキドキすると、八雲くんは前を向きながら悪びれなく答えました。




「またふらふらと危ないところに行かれては困りますから。大人しくしててください」


「っ……あ、あたし、動物じゃないし……」


「人間も動物でしょう?」


「うん……」




あぁ、ダメです。

八雲くんと手を繋いでいるのに、普通にお話なんてできません……っ。


もう、なんで八雲くんはそう簡単に女の子に触れるんですかっ。



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