【中】今さら、付き合いたいなんて。
「わ、分かったよ……」




うぅ、八雲くんの顔を見れません。

鼓動も、全然落ち着いてくれませんし……!




「……恋人だと言ったのは、その場の方便ですから」


「! わ、分かってるしっ!」




な、なんでそれを蒸し返すんですか!

あぁもう、ドキドキしすぎておかしくなりそうです!

嘘でも、八雲くんに恋人だと言われたなんて……っ!




「さっきの今ですから、家まで送ります。済ませておく用事はありますか?」


「はっ? な、無いけど……」


「分かりました。それじゃあ行きましょう」


「え? ちょ、ちょっと……!」




いつかのように、また手を繋がれて歩き出します。

本当に私の家まで送ってくれる気らしい八雲くんに連れられて、私は心臓の落ち着け方が分からないまま、一緒に家に帰りました。


偶然でも、休日に八雲くんと会えて、少し。

いえ……かなり、嬉しかったです。



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