【中】今さら、付き合いたいなんて。


「なっ、なっ、なっ……!」


「どうしました?」


「な、なんでっ!? なんでっ!!」




確信犯の笑みでしれっと聞いてきた八雲くんに、口を押さえながら聞き返します。

八雲くんは私の髪を絡め取りながら、「分かりませんか?」と私の目を見つめました。




「俺も同じ理由でこの姿になったんですよ」


「お、お、同じ理由っ……?」




同じって……八雲くんも、私に合わせる為に、優等生に?




「そうです。気に入ってくれました?」


「な、なんで? なんで、私に合わせて?」


「それは……」




八雲くんは私の手を剥がして、そっとキスをしました。

そして、近い距離のまま私の耳元に口を寄せて、囁きます。
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