【中】今さら、付き合いたいなんて。


「こ、これで、満足してください……っ」


「……いいですよ。これから毎日、叶希さんがキスを1回してくれるんですね」


「へっ!? 酷くなってるじゃないですか!」




普段は何事にも興味が無さそうな瞳が、火傷しそうな熱さを湛えて、蕩けるように私を見つめ返します。

八雲くんは笑って、親指で私の唇をなぞりながら話を変えました。




「それじゃあ、次のキスを区切りに、付き合うということにしましょう」


「い、今さらですか!? こんなにキスをした後でっ!?」


「曖昧にしておいたら、後で確認したがるでしょう? そういうところ、叶希さんは真面目ですから」


「うっ……」




何も言い返せません。

確かに、今というタイミングがなければ不安になるかも……。
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