【中】今さら、付き合いたいなんて。
「ん……もう少し、ここにいてもいいけど?」


「ダメですよ。授業はちゃんと受けないと」




八雲くんはその言葉の通り、私から離れて手を差し出しました。

今さらながら、八雲くんが優等生に擬態しているのがおかしくて、私は笑ってしまいます。


それから、八雲くんの手を取って、体育館裏を離れました。




「八雲。改めて、その。……よろしく」


「はい。こちらこそ、よろしくお願いします」




私達は手を繋ぎながら、特に急ぐわけでもなく、ゆっくり教室に向かいます。

それは、お互いに近付こうとして、正反対な相手を真似した私達の、ひとつの終着点のようでした。



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