庇護欲強めの彼に守られ、愛されました
「フォロワーの数がやけに多いな。すごい」

「コツコツ活動してきた証のような気がしてて、それをいきなりは捨てられないなんて……バカですよね。笑ってください」

 私が自嘲気味に苦笑いをして肩をすくめても、彼は一向に表情を変えなかった。
 そして、スマホに落としていた視線を私に向ける。

「俺は笑わない。誰にだって大事なものはあるだろ」

 剣崎さんの言葉が胸に響いて、思わずうるっときてしまった。
 私は決して思いあがっているつもりはないが、たくさんのフォロワーを置いてきぼりにして、いきなり消えることはしたくない。
 厄介なのはドラゴンアイだけで、ほかは常識的な人たちばかりなのだから。

「実は来週の日曜に、新商品のプロモーションを兼ねたビールのイベントがあるんです。私もスタッフとして来場者にパンフレットを配布したり、アンケートのお願いをしなくちゃいけなくて……」

 イベントの詳細が記載された投稿を見せたところ、彼はあご元に手をやって顔をしかめた。

「この日、剣崎さんにボディーガードをお願いできないですか? もちろんお金はお支払いしますので!」

 イベントという派手な場所で人前に出続けるのは、私の中で嫌な予感がしていて、不安が拭えない。
 どうしたものかと悩んでいたときに、隣に住む剣崎さんの職業がボディーガードだとわかったのはとてもラッキーだ。
 きっと、神様が彼に頼れと助言してくれているのだと思う。

「あのさ、依頼はうれしいんだけど……どれくらい費用がかかるのかは知ってる?」

「いえ……」

 小さく首を横に振ると、剣崎さんは困ったような笑みを浮かべ、自身のスマホを操作して画面を私に見せた。
 そこには“身辺警護・ボディーガード価格表”と書かれてある。おそらく会社のホームページだろう。

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