庇護欲強めの彼に守られ、愛されました
 あのメッセージを受け取って以降、マンションの集合ポストの扉を開けるのをためらうようになった。
 大量の手紙の投函だとか、それ以上の陰湿な嫌がらせをされている可能性まで考えが及べば、ポストの中を確認するのにも勇気が要る。
 だけど今のところなにも起きていなくて、私がネガティブな妄想をしているだけなのだと毎回ホッとしている。
 しかし剣崎さんの言うように、エスカレートした相手が今後どんな行動を取ってくるかはわからない。

「なにか投稿するたびに、ドラゴンアイは一番最初にコメントを付けてきてる。まるでずっと監視しているみたいだ」

 さらに追い打ちをかけるように剣崎さんが恐ろしいことを口にした。
 だけどその通りで、ドラゴンアイはいつでもスマホを見られる環境にいるのか、どんな投稿にも反応が早い。
 以前はまったく気に止めていなかったが、大量のメッセージや隠し撮り写真を送り付けられた今となっては、それも軽視出来ないほど気味が悪くなってきた。

「SNSを少し休むのは? いっそ、アカウントごと消して辞めてしまうとか」

「そうしたいところなんですけど……仕事でも使ってるから難しいんです」

「仕事?」

 剣崎さんがSNSの投稿内容を確認している途中で、私がなにか手に持って自撮りをしている写真が多いと気付いたようだ。

「私、飲料メーカーに勤務していて、所属が広報部なんですよ」

「なるほど……宣伝のため?」

「SNSを始めたころは学生だったから、普通にプライベートの投稿だけだったんですけど、今では仕事絡みのものも多くなってしまっています」

 私の話を聞きながら、剣崎さんはウンウンと納得するようにうなずいていた。
 SNSは楽しくて大好きだけれど、こんなことになるなら宣伝のための投稿は控えればよかった。
 会社に頼まれたから仕方なかったとはいえ、堂々と顔出しをするべきではなかったかもと、今さら悔やんでも遅いのだけれど。
 自分の危機管理能力の低さにはあきれてものが言えない。


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