庇護欲強めの彼に守られ、愛されました
「行ってきます」

 イベントで人前に出ると言っても私ひとりではなく、周りに同僚もいるし、注意していればきっと大丈夫だ。
 あまり考えすぎないようにしようと気持ちを立て直して電車に乗り、イベント会場に着いたそのとき、再びドラゴンアイからメッセージが届いていることに気付いた。

『このままいなくなるのは絶対許さない。俺から会いに行く。どこにでも』

 書かれていた文章に驚いて、うっかりスマホを落としそうになった。手の震えが止まらない。
 “会いに行く”と、はっきり言葉にしてきたのはこれが初めてだから。
 それがいつなのかは不明だけれど、タイミングを考えたら今日である可能性が高いと思う。
 自然と嫌なほうに思考が傾き、自分の顔から血の気が引いていくのがわかった。

 会場で支給されたキャメル色のカフェエプロンを身に着け、ウエスト部分の紐を前側でキュッと結ぶ。
 イベントは十一時開始で、十九時に終わる予定だ。


「なんだか顔色がすぐれないね。体調が悪いの?」

 十四時に遅い昼食を取っていると、同僚の西野 光里(にしの ひかり)が声をかけてきた。
 会場内では笑みを絶やさないようにしていたが、休憩に入った途端に疲れが押し寄せて、思うように食事が喉を通らない。

「実は……」

 光里には以前、ドラゴンアイからストーカー行為を受けていると話したことがあったので、今朝最後に届いたメッセージを彼女に見せた。
 すると光里はおぞましいものを見たとばかりに、両手で自分の腕を掻き抱き、フルフルと小刻みに首を横に振った。

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