酔いで寄りたいの。
まだ繋いだ手のまま、あえて遠回りをして向かったのは、悠介の家。

「上がっていいよ」

「……うん」

家に入ると悠介の匂いがいっぱいで、クラクラする。

「こっち、くる前に質問ね」

顔を上げると暗闇の中に悠介の姿が。





「付き合ってる人、いる?」

「…いる」

「その人のこと、好き?」

「……」

「すき?」

「…わかんない」

「俺と、どっちが好き?」

この人、私がまだ酔っ払ってると思っているのだろうか。

なら、乗ってあげる。

「悠介」

「彼氏がいるのに他の男の家上がっていいの?」

嘘で固めるのもありだけど、悠介には私を見てほしい。

本当の私を、私だけを見ていてほしいから。

言葉よりも行動で示さないと。

靴を雑に脱ぎ捨て、悠介に抱きつく。

「いいの?」

これはきっと、最後の確認。

回した腕の力を強くすることで、肯定を示す。
< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop