酔いで寄りたいの。
「も、ちょっと歩くかぁ」

「んー」

ゆったりとした雰囲気が心地よい。

「ねえ、悠介に足りない物、なんだと思う?」

突然の質問はお酒に酔ってるからって事にする。

「知らん。わかんない」

「悠介が、見てる空に見える物だよ」

かっこいいことは言えないから、私にはこのくらいがちょうどいい。

「どういうこと?」

「見えるものは案外自分のものじゃなかったりすんの。自分が手に入れられないものはすぐそばに見える。だから羨ましい。」

私が手に入れられないものは悠介だったよ、なんてことまでは言えずに。

相変わらず焦ったく終わってしまう。

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