酔いで寄りたいの。
もうすぐこの時間が終わってしまうのではないかという不安が、私を焦らせる。

まだ、別れたくない。

別れたくないよ。まだ一緒にいたい。

「送ってよ…」

小声で言ったそれは、きっと届かない。
届かなくていいんだ。

なぜか泣きそうになって、俯く。

涼しい風が吹いて、少し肌寒い。

手をポケットに入れようとしたら、手がぶつかってしまった。

ぶつかった手をそのまま繋がれる。

混乱する頭。

火照り続ける体。

何が何だかわからなくなって悠介を見ると、顔を逸らされる。

恥ずかしくて顔が赤くなるのがわかった。

私たちは、手を繋いだまままた歩き始めた。
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