推し一筋なので彼氏はいりません



次の日に早速菜々春に言われたことを実行してみることにした。


「菅野さん、おはようございます。」


いつもは教室の前で待っている先輩を横目に、早々に自分の席に向かうのだけど、今日は先輩の前で立ち止まる。

そんな私を見て先輩も少し驚いているように見えた。


「おはようございます。
あの、佐山先輩にお願いがあるんですけど。」


「はい。何でしょう?」


「私の好きなアニメのコラボカフェがあるんですが、一緒に行ってくれませんか?」


「コラボカフェ?」


「キャラクターをイメージしたフードやドリンクを楽しめるカフェです。」


「なるほど。
菅野さんのお誘いならぜひ。」


「ほんとにいいんですか?」


「はい、もちろん。」


コラボカフェというワードも知らなさそうだったのに、こんなにあっさり頷いてくれるとは。

菜々春の言った通り、好きな人の誘いってこんなに軽率にOKするものなのだろうか。


「やった!ありがとうございます!」


「では今後のためにも連絡先を教えて貰ってもいいですか?」


「もちろんです。」


私は先輩とメッセージアプリで連絡先の交換をおこなった。


「やっと菅野さんの連絡先知れた〜。
たくさんお話しましょうね。」


「いえ、必要最低限でお願いします。」


「…そう言われると仕方ないですね。」


先輩は本当に日程を決める時くらいしか連絡して来なくて、正直安心した。

菜々春くらいしか話す事ないし、普通の友達?に対してどういう感じでメッセージを送ればいいのか分からないから。


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