推し一筋なので彼氏はいりません
「愛衣って佐山先輩に告白され済みなんだよね?」
「うん、一応。」
「先輩のこと気になったりとかしないの?」
「ん?なんで?」
「だって、学校一のイケメンだって言われてて、背も高いし、頭も良くて生徒会メンバーで、バスケ部の副キャプテンで運動もできて、性格も愛衣に敬語使ってるくらい真面目で優しいし。
二次元によく出てくる理想のタイプじゃん?」
生徒会メンバーだったのも、バスケ部だったのも初めて知った。
特進科ってだけで忙しそうなのに、いろいろやっててすごいな。
「しかも愛衣の推しの遥斗くんとスペック似てるし。イケメンとかバスケ部なとことか。」
「……え?」
遥斗くんは誰とも似てないし、遥斗くんは遥斗くんだ。
「あ、ごめん。冗談。
でもほんとに全然気にならないの?」
「うん、ならない。」
「そっかぁ。
私なら佐山先輩に告白されたらすぐOKするな〜。」
「菜々春、佐山先輩のこと好きだったの?」
「いや別に。でも非の打ち所がないし、自慢の彼氏になりそうじゃん。」
「そうかな?
私は遥斗くんみたいにツンデレだったり、ちょっと可愛い人の方が好きだな。」
「はいはい。」
「あ、そうだ。今度ね、コラボカフェがあるんだけど、菜々春一緒にいかない?」
「ごめん、今ダイエット中なんだよね。」
「そっか、残念。
ひとりで行って遥斗くん引けるかな…。」
「佐山先輩誘ったら?」
「なぜそうなる。」
「今先輩の話してたからなんとなく。
好きな人の誘いなら乗ってくれそうだし、いっぱい食べてくれそうだよ?」
「でも先輩にオタクなの言ってないしなぁ。」
「いいじゃん。
オタクって知って遥斗くんに貢いでるの実際見たら、愛衣のこと嫌になってくれるかもよ?」
「確かに!それは名案。」
朝に教室来て話すのとか、唐突に一緒に帰ろうとか誘われなくて済むようになるかもしれない。