宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
 宮野くんとふたりきりでご飯を食べている。

 なんだか夢みたい。
 もしかして夢?
 夢だったら痛くないかな?って思って。
 ほっぺをつねってみた。

「痛いっ」
「どうした? 大丈夫か?」

 ラーメンをすすっていた彼は手を止め、心配してくれた。

「今、夢の中にいるのかな?って思ってつねってみたら痛かったの」    
「ははっ」
 宮野くんに笑われた。
「私、なんか変なこと言っちゃった?」
「いや、わざわざそんなことしなくても」
「だって、憧れの宮野くんと一緒……」 
「ん? 俺と一緒?」
「なんでもない」 

 危なかった! 

 私の宮野くんへの想いを言いそうになっちゃった。

 『憧れの宮野くんと一緒にいられるのが夢みたいなんだもん!』って。

「俺はね、ラーメンが熱くて、美味しさも感じて、それで生きてる、これは夢じゃないって思ったよ」

 宮野くんも夢かな?とか思っていたのかな? 
 
「ねぇ、宮野くんは今、どんな気持ち? 不安?」

「あぁ、でも不安がって何もしないんじゃあ、前に進めないし、今出来ることやって、どうやったら元の世界に帰れるか、考えよ?」  
「うん!」

 すごい、宮野くん! 

 宮野くんのその言葉と自信ありそうな仕草。前向きな彼と一緒なら、色々と大丈夫な気がしてきた。勝手に笑みがこぼれてくる。

「あ、やっと笑った」
「えっ?」  
「ずっと難しい顔してたからさ、小松さん、笑ってた方が可愛いよ」

 ――ドキン

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