宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
「結芽!」

 葵ちゃんが私を呼ぶ声が後ろから聞こえた。

 宮野くんは気がついていない。
 今振り向いたら、宮野くんが気がついて、葵ちゃんのところに行っちゃう。

 ――ごめんね、葵ちゃん。私、振り向けない。

 今日は動きやすいサンダルを選んだ。動きやすいけれどもスニーカーよりも走りづらい。けれど、懸命に走った。

「小松、どうした?」

 私の速さに合わせてついてきてくれる宮野くん。

「後で、言う」

 少しでも葵ちゃんから離れられるように、ひたすら真っ直ぐ、行く時につけた目印をたどって進んだ。

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