宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
 家の隣には想像していたよりも大きな畑があった。
 野菜もすでに植えられていて。

 人参や大根やピーマン、ほうれん草、あと、トマトとキュウリ、キャベツ……。いつの間にこんなに!

「この辺に種まいていいよ!」

 この種が一日で花になるのすごいな。ちなみにアリッサムは、小さなお花が沢山仲良さそうにくっついて、にぎやかで可愛いお花。

 お母さんが大好きで、白やピンクを庭に沢山植えていた。

 お母さんたちに会いたいなぁ。

 種をまきながらわたしは新井くんに聞いてみた。

「ねぇ、新井くんはあっちの世界に帰りたいって気持ちとか、ないの?」

「どうなんだろう。あっちに行っても、友達もいないし、親も仕事でいないし、ずっとひとりでゲームばかりしてからなぁ。どっちでもいいかな? 小松さんは?」

「わたしは……帰りたい気持ちもあるけど、ここも楽しいな。ていうか、元の世界に帰る条件満たせないし、一生ここにいるかも」

「帰りたくなったら、本当にいつでも僕に言ってね? 一緒に帰ろう」

「う、うん……」

 宮野くんには嫌われた感じだし。
 もしも帰るとしたら、新井くんと帰るのかな? 

 でも、葵ちゃんは新井くんのことが好き。だから、私ではなくて葵ちゃんに『好き』って言ってほしいし……。

 考えるほど頭の中がぐちゃぐちゃになってくる。
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