宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと

12*宮野くんと村へ

 卵がたくさん並べられているお店の前に来た。
 綺麗なお姉さんが中にいたから話しかけてみた。

「すみません!」
「人間の子かい。こんにちは!」
「こんにちは! あの、その卵と野菜、交換してほしいのですが」
「いいよ! 何個?」

 何個だろ……。

「宮野くん、何個?って聞いてるけど、どうしようかな」
「10個ぐらい?」

 宮野くんが首をかしげながら答えてくれた。

「10個でお願いします」

 宮野くんが持っていたカゴから人参1本ときゅうり3本、トマトを6個を出してお姉さんに渡した。

 卵を受けとりカゴに入れる。

「ありがとうございました」

 他のお店も眺めながらゆっくりふたりで歩く。

「ふたりでいる時はお揃いがいいな」

 突然、宮野くんが呟いた。

「お揃い? 何を?」

 宮野くんが服屋さんを指さした。

 そのお店に売っているのは白い魔法使いみたいなローブ。

「あっ、可愛い。でもなんか、高級そう。野菜まだちょっとだけ余ってるけど、交換するには足りなさそう……」

「そうだよなぁ」

 せっかく「お揃いがいいな」って宮野くんが言ってるのに……。

 何か手に入れる方法ないかなぁって考えてみる。

 自分がいつも持ち歩いてるカバンについているビーズの飾りが目についた。ピンクと黄色の花の飾りをふたつつけている。

 ちなみにこの飾りは、タブレットからアイテムを出せてた時に、ビーズとか出して作ったもの。

「これ、交換するのとかどうかな? 私が作ったんだけど……」
「手作りか。渡して大丈夫なの?」
「大丈夫だよ!」
「可愛いし、上手だね。聞いてみたら?」
「うん」

 宮野くんに手作りの飾りをほめられて、嬉しい。
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