宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと

15*元の世界へ

 頭の中が真っ白な状態になってから光に包まれた気がした。

 それから意識がなくなって……。

 しばらくすると、意識が戻ってきた。
 手には、誰かの両手を握っている感触がある。

 目を開けてみると、目の前には宮野くんがいた。そして、見覚えのある風景が目の前にあった。木に囲まれている場所に私はいた。

 ここって……もしかして……。

 元の世界に戻ってきた?

「小松、大丈夫か?」

 心配そうに私を覗き込む宮野くん。

「宮野くん、もしかして私たち、戻ってきたの?」
「あぁ、ここは現実世界だな」
「ふたりとも、生きてるの?」
「あぁ……」
「よかった!」

 わたしは一気に力が抜け、宮野くんに手を握られたまま地面に座り込んだ。
 宮野くんも私に合わせてしゃがんでくれた。

「宮野くん、もしかして戻る前、私に『好き』って言ってくれた?」
「うん、言った」

「すでに私の気持ちは伝えてあって……だからこっちの世界に帰ってこれたんだ! 帰るためにウソでも『好き』って言ってくれて、ありがとう」

「……」

 宮野くんは黙りこんだ。

「宮野くん?」
「小松、ウソじゃないんだ」
「えっ?」

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