宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと
 ふと葵ちゃんから教えてもらったことを思い出した。

 この街に、好きな人と行くと両思いになって、結ばれる場所があるらしいって話。

 好きな人と夢の世界に行った結果、本当に両思いになれた。
 そして、お互いの気持ちをこうして伝えあって、結ばれた。

 あの噂話を聞いた時は、こんなふうになれるなんて、1ミリも思っていなかった。

 宮野くんがもっと力を入れて、両手を握ってきた。

「感覚、ある?」
「あるよ……あるけど、夢の中でも感覚あったし」

 本当は現実にいるって分かってる。
 でもまだ信じられない自分もいて。

「じゃあ、これは? 暖かさ感じる?」

 宮野くんが抱きしめてきた。

「うん。感じる」

 ずっと片思いだと思っていた宮野くんと両思いになって、ぎゅっとされて。
 心があたたかくなって、気持ちよくなって。
 うれしくて、涙が止まらなくなった。

「宮野くん、ありがとう」

「ううん、小松こそ、ずっと俺のこと好きでいてくれて、ありがとう。そして好きって言ってくれて、ありがとう。俺の気持ち、伝えるの遅くなって、ごめん」
「ううん! 夢の世界の生活、楽しくて幸せだったから、いいの」

 しばらくふたりはぎゅっとしていた。

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