宮野くんに伝えたい想い~夢の世界から戻る方法は『好き』を伝え合うこと

2*別の世界へ

 意識が戻ってきた。

「あれ?」

 今まで私、公園にいたよね?

 今、目の前には土しかない。
 そして、遠くまで見渡せる景色。
 怖い……。いきなり何これ。

「なんだこれ?」

 後ろから聞き覚えのある声がした。
 振り向くと宮野くんがいた。

 ひとりぼっちだと思ったら宮野くんがいて、ちょっとだけ安心した。

「なんだろう……。さっきまで私たち、木に囲まれた場所にいたよね?」
「うん、いた」
「目の前が急に真っ白になって……」
「俺も。意識なくなって気がついたらここにいた」

 いつもは宮野くんに話しかけるのもドキドキだけど。今はそれよりも目の前の光景に驚いて、緊張しないで話せている。

「とりあえず、歩いてみる?」
「うん」

 葵ちゃんたちがいる気配もない。
 もしかして今、宮野くんとふたりきり? 
 
 あらためて宮野くんのことを意識したら、ドキドキしてくる。

 歩いて少したつと、白い木でできた小さなテーブルを発見した。

 テーブルの上には、手の平よりも少し大きいサイズの、白と黒のタブレットがふたつある。

 宮野くんは迷わず黒いタブレットを手にとった。
 彼が画面を押すと、画面がぱっと明るくなった。

 そして白を背景に『ようこそ』って紺色の文字が、画面の真ん中に浮かび上がってきた。

 宮野くんが画面に出た文字を色々押していく。すると『どの村にしますか?』という文字と共に、風景のイラストが4つ画面に出てきた。

『平地、海、山、雪』。

「海か、山だな。小松、どっちがいい?」
「えっ? 海か山?」
「うん。好きなのどっち?」
「海、かな?」
「じゃあ、海!」

『海』を押した瞬間、さらに驚くことが起こった。
 再び目の前が真っ白に。
 そして海の音、香りがしてくる。

 視界が戻ると、辺り一面海になっていた。

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