覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
 


 翌朝、バスで会った八尋に『10%の確率で嫁』の夢の話ではなく、知らない番号から電話がかかっていた話をすると、

「……それ、玖村さんじゃないのか」
と何故か言う。

 何故、玖村さんなんですか、と思いながら、

「でも、玖村さん、私の番号知ご存知ないで……」
と言いかけ、気づく。

「あっ、ご存知かもしれませんっ」

 バスを降りた衣茉は道の端で立ち止まり、ゴソゴソとスマホをとり出す。

「ほら、なにかのときに番号入れたんですよ。
 確か、呑み会の……」

 そう言いかけ、ハッとする。

「しまったっ。
 うっかりしてたっ」
と真剣な顔で、スマホをいじっていると、八尋は、

「またメモか。
 まあ、仕事熱心なのはいいことだが……」
と言いながらチラと衣茉の手元を見たようだった。
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