覆面作家と恋せぬ課長(おまけ 完結しました)
「ね、衣茉ちゃん」
と笑いながら、明子がこちらを振り返った。

「え? は?
 聞いてませんでした」

 すみません、と謝ったが、明子は、
「衣茉ちゃん、いい度胸ねえ~。

 私が新入社員の頃は、怖そうな女の先輩が話してることを聞き逃したりすると恐ろしいから、いつも気を張ってたものよ」
と笑顔で脅してくる。

「すみません。
 でも、湯村さんは、なんにも怖くないので――。

 いつも素敵ないい先輩です」
と心のままに言うと、あら、と明子は照れる。

 早く原稿を書けと編集さんより強力に催促して来ないときに限るが……。
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