捨てられた妃 めでたく離縁が成立したので出ていったら、竜国の王太子からの溺愛が待っていました
 素材が転がっているのは魔物がウヨウヨと徘徊する森だったり、移動もままならない山の中だ。いつものように黒のパンツに白いシャツを着て、上からローブを羽織った。

 モノによっては深い洞窟に入ったり魔物を討伐しなければならないことがある。当然危険はつきものだし、高い素材は手に入れるのにそれだけの苦労があるのだ。

 だから私は自分の身を守って魔物を倒すために、さまざまな魔道具を開発していた。個人で使う物なのでこの世にふたつとないものだ。お父様のお墨付きなので、効果はバッチリである。

 アレスが心配そうにするので出発前に持ち物や魔道具の使い方を説明した。
 まずは魔物や魔石の魔力を感知する探索器を取り出して進路を決める。これを応用してアステル王国に眠る鉱脈を探す魔道具を作ったのが懐かしい。
 ただ私が集めたデータにない魔物は感知しないので、念のため攻撃を防ぐ結界も魔道具で張っている。

「なるほど、これはなかなか素晴らしい魔道具ですね」
「お父様にもこれで許可をもらったのよ。とりあえずは魔物の攻撃も一度は防げるから即死はないわ」
「ですが、魔物の討伐の際はいかがなさるのですか?」

 アレスの問いかけにニヤリと笑みを浮かべる。実はこれこそ最高傑作とも言える自慢の逸品だ。物が武器なだけに悪用されるのを防ぎたくて公表していない。

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