幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~

ラーデマッハー伯爵家のパーティ

ギュンターがラファエルから招待状を手に入れたことなど微塵も知らず、
クララは憂鬱な気分を押し殺してパーティの準備をしていた。
今日はファーレンハイト家を招いての歓迎パーティー当日である。

父からは最初はお見合いだと聞かされていたが、
ふたを開けてみれば婚約パーティーも同然の内容である。
してやられたとクララが気づいたころには時すでに遅く、
母カサンドラは意気揚々と準備に大忙しだ。

小さい頃からコルセットやドレスといった窮屈な服が大嫌いだったが、
今日ばかりはフリルのたくさんついたドレスを着なければならない。
髪の毛も整髪料やら髪飾りをたくさん着けられて
気持ち悪いことこの上ない。
(王妃様は毎日こんな窮屈な恰好をしてしんどくなかったのかしら。)
鏡の前で着せ替え人形のようになっている自分を見ながら、
クララはかつての主のことを思い出していた。

(このパーティが団長とのものなら、私ももっと張り切るのに。)
今の私を見て、団長は綺麗だと言ってくれるだろうか。
団長への恋心は騎士団を退団した時に振り切ったはずなのに、
やはり忘れることはできなかった。
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