幸せを受け止めて~騎士団長は月夜に淑女をさらう~
「んっ・・・ギュンター様ぁ。」
吐息を漏らしながら名前を呼ぶクララの声に理性を失いそうになるが、
必死に欲情を抑えこむ。
こんな森の中にはそうそう誰も来ないが、
クララの純潔をこんなところで奪うのは嫌だった。

「そうだ。クララにプレゼントがあるんだよ。」
雰囲気にのまれないために、ギュンターは話題を変えた。
首を傾げるクララの首元に手を回し、細いチェーンの留め金を留める。
それは、クララのモチーフである馬蹄の形をしたダイヤモンドのネックレスだった。
「指輪も考えたんだけど、クララにはそれが良いと思って。気に入ってくれると嬉しい。」
「なんて綺麗なダイヤモンド。とても嬉しいです。一生大切にします。」
クララは感極まったように目に涙をためてお礼を言う。
「馬蹄はシンプルな形だけど、とても良いモチーフだよね。馬好きのクララにピッタリだし。」
「馬蹄には『幸せを受け止める』という意味があって、父が選んでくれました。でも、今の私は幸せが溢れすぎて受け止められないくらい。」
「これからもっと2人で幸せになろう。」
「はい、ギュンター様。」
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