夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
俺の弟は,春陽は。
部屋に籠って,うつ向いて。
その日から色んな物がズレては崩れていった。
最初にズレたのは,両親で。
今ではもう,家の誰の考えも気持ちも交わらない。
それなのに家族と言う設定が,交わらない思いをぶつけさせる。
削れても,ヒビが入っても。
止めることも修復することも出来なくさせる。
「君は弟が……嫌いなの? 弟が不登校だと,許せないの? だからそんなに……つらそうなの?」
顔を見られているのを,その視線を,感じていた。
俺は返せなくて,あいつみたいに下を向く。