夕日みたいな君と,時間を忘れて手を繋ぐ。
「ねぇ,君は何をしてるの?」
再び空を見上げると,やけに高揚した,時間にそぐわない声が俺の心を引き戻す。
まぁ,こんだけ堂々と見てくるんだから,声くらいかけるよな。
俺はため息を吐いて,そちらを見ないまま簡潔に答えた。
「星を,見てる」
人と話したい気分ではないのに……
もういいだろと一瞥すると,お? とうざったく反応する。
「今? ……なんで?」
……なんで?
思わず心で反応してしまうくらいには。
そっくり返したくなる質問。
「そんな踏み込んだこと聞いて,何になんの?」
つい感情的になり,俺は顔をそらした。
なに自分から踏み込んだこと,なんて情報を落としてるんだ。
これじゃあ自爆でしかなく,まるで他人にすがっている様にすら見える。
あまりに子供じみている。
「え? ああ違うよ。私は何で星を見てるの? って聞きたかったの。でも綺麗だよね,私は夜になってすぐの方が好きだけど」