吸血鬼令嬢は血が飲めない

わたくしは我が父の実娘ではありません。
ごく普通の、僅か10歳の人間の女の子でした。

『……ううっ、う、っ…。
おとうさま…おかあさま…。』

ヴァンパイア・ロードの花嫁となるために攫われ、失血寸前まで血を啜られ…眷属として吸血鬼へ変貌させられた憐れな怪物。
それがわたくし、レギナでした。

『初めまして、レギナお嬢様。
私は執事のスアヴィスと申します。
何なりと、お申し付けくださいませ。』

そんな幼いわたくしが一人前の吸血鬼となるため、世話係に任命されたのが、他でもない執事スアヴィスであり、

『……おねがい…わたしと、ずっといっしょにいて…。
わたしを、たすけて…。』

人間から切り離された幼いレギナが、唯一依存できる存在もまた、執事スアヴィスただ一人でした。


『…はい。ご命令とあらば。
スアヴィスがずっとおそばにおります。
私が貴女を何者からも守ります。
お約束です、お嬢様。』
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