婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 国王陛下はいまだに及び腰だし、王妃様はラティシアを排除することしか興味がない。こんな両親だからフィルレス様が好き勝手にしているのだ。煮え切らない国王と視野の狭い王妃に、苛立ちが限界に達した。

「このままではわたし、聖女のお役目を果たせませんわ! 目的達成のためにいくらでも協力いたしますが、こんなひどい扱いなど受け入れられません。このままの状態なら、わたしはアトランカ帝国へ行きますわ!」

 文句ばかり言ってないで頭を使って邪魔者を排除してほしい。

 わたしが本気を出せば、ユニコーンを使って味方の貴族たちにだけ結界を張ることだってできる。それに前回はフィルレス様に結界を破られたが、もっと強化した結界だって張れるのだ。

 聖女であるわたしが、こんな待遇で満足できるものですか……!

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