婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
「しかもアルテミオがフィルレス側だと明らかになったのだ! 今回の件もフィルレスが手を回したに違いない……。わしがどれだけ東方の国へ親書を送っても、王妃は一族の恥だというばかりで、挙句に向こうの王族が正当な処罰を与えると返事が来たのだ」
「それでは、わたしがアルテミオ様と婚約するという話はどうなるのですか!? これまで散々協力してきたのに、話が違います!!」

 この国の王子はふたりしかいない。そうなったらわたしは誰と結婚すればいいというのだ。聖女になった時点で婚約は解消しているし、このまま独身で過ごすなんてもっとありえない。

「それよりも、其方の認定試験はどうなのだ! そもそも合格しなければ、婚約者にすらなれんのだぞ!」
「そちらは順調に進んでいますわ! 残すところコートデール公爵家の試験だけですから、一週間もあれば結果は出ます」

 すでにルノルマン公爵家とアリステル公爵家の試験は終わっている。

< 127 / 237 >

この作品をシェア

pagetop