婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 ルノルマン公爵家の試験は街中の視察で、翌日レポートを提出して終わりだった。
 犯罪者が多い地域もルートに入っていたけど危険だから避けたし、孤児院の奉仕だって問題なくこなした。提出したレポートには、国王陛下の治世でいかに王都が栄えているか書いたから完璧だろう。

 最後にルノルマン公爵様が開催したお茶会にも呼ばれて、聖女であることを知らしめた。今までわたしを下に見てきたイライザ様も、ジャンヌ様も、それからエルビーナ皇女だって膝を折って挨拶してきたのだ。

 社交界にも影響力があると審判(ジャッジ)のロイス様にも理解したはずだ。レポートではルノルマン公爵のお茶会に参加できて光栄で素晴らしかったと賛辞を送ったから、評価してもらえたに違いない。

 アリステル公爵家の試験は、後妻であるローザ夫人のお悩み相談だった。

 内容は前妻の子であるイライザ様と打ち解けたいなんてくだらない問題だったから、お茶でも飲みながら会話をしたらいいと適当に言っておいた。

 正直なところ他の家の親子関係など、どうでもいい。なぜ聖女のわたしがそんなことまで解決しなければいけないのか、意味がわからなかった。

 むしろ、これが王太子の婚約者の認定試験なのかと拍子抜けしたくらいだ。
 フィルレス様にも逐一相談しながら進めてきたし、かなり反応がいいと言っていたから合格は目前だろう。

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