婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 私の年齢と同じ二十四度目の鐘の音で、愛しい夫のもとへ辿り着く。エリアスからフィル様へエスコートが変わり、太陽の創世神の前まで足を進めた。

 ここで私たちは宣誓する。

「フィルレス・ディア・ヒューレットは最愛の妻ラティシアを生涯愛し、互いに支え合い、なにものからも守り抜くことをここに誓います」
「ラティシア・ディア・ヒューレットは唯一の夫フィルレスにすべてを捧げ、いかなる時も信頼し、生涯愛することをここに誓います」

 今度は私とフィル様が向かい合うように立って最後の言葉を口にした。

「「太陽の創世神よ。月の女神よ。大地の神よ。神々の御前にて、我らは永遠(とわ)の愛を誓います」」

 そっと目を閉じると、石鹸の爽やかな香りとともにフィル様の柔らかな口づけが降ってくる。誓いのキスを終えて、離れていく温もりに寂しさを感じてしまった。

 目を開ければ、フィル様の青い瞳に惹き込まれる。

「ラティ。愛してる。誰よりもなによりも、君だけを愛してる」
「私もフィル様を愛してます。生涯をかけて愛を注ぎます」

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