婚約破棄された王太子を慰めたら、業務命令のふりした溺愛が始まりました。2
 そんな言葉とともに毒物チェックのために、私の口内をフィル様の熱い舌が縦横無尽に暴れている。その熱量に頭がくらくらして、抵抗しようとしても力が入らない。

「ふふ。ラティ、かわいい。今日はもう少しだけ先に進もうか」

 すっかりとろけきった私は、フィル様の言葉の意味がよくわからない。先に進むとはいったいどこへいくということなのか。

 そんなことを考えていると、フィル様は私の首筋へ舌を這わせてきた。

「ひゃっ! フ、フィル様!?」
「ラティはどこもかしこも美味しいね」

 壮絶な色気を振り撒きながらフィル様の唇が私の首筋から顎へ、顎から頬へ、頬から耳へリップ音を立てながら進んでいく。
 最後には耳まで食べられ、十分すぎるほどフィル様の愛を受け止めた。

 だけど、王妃様の妃教育はさらに私の身を削るものになっていった。


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