結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

「自分を責める事はないよ。過ぎ去ったことを悔やむよりも、今現在から未来を良くしてゆく事を考える事だよ」
「はい、そうします」

 小さく笑いを浮かべた聖一郎。
 何となくだけど、俺と似ているんだね。
 そうだよな、実の兄弟なんだから。
 思い込む癖も同じ・・俺も、父さんと母さんが死んだときは、こいつが殺したって思い込んでいたし。
 あのペットボトルを父さんと母さんに届けたのは、こいつで、その中に毒が入っていたって事だったからな。
 でも、初めにペットボトルを渡したのは金田理子だと分かって誤解だって分かったが、直ぐに気持ちが晴れたわけじゃなかったからな。


 その後、聖と聖一郎は他愛ない話をして帰って行った。




 23時を回る頃。
 聖は寝室へと戻ってきた。

 柚香は先に眠ってしまったようで、スヤスヤと寝息を立てていた。

 起こさないように柚香の隣に入った聖は、眠っている柚香をそっと見つめた…。

 いつも髪をボサボサにして、大きな眼鏡をかけている柚香。
 寝ているときはメガネを外しているが、寝顔を見るとまだ幼い感じが残っていて、あの日の柚香の面影が残ているような気がした。

「…柚香…ごめん…」

 そっと、柚香の頬に触れた聖。
 
 すると、うつらうつらと柚香が目を覚ました。

 ぼんやりとした視界に聖の姿が写り、ハッと目を覚ました柚香。
 
 メガネを外した柚香と目と目が合うと、聖は愛香里と重なって見えた。

「ごめん、起こしちゃって…」
「いえ、すみません先に寝てしまって…」
「別に構わないよ。お互い仕事しているんだから、疲れているんだ。気にする事はない」
「…はい…」

 じっと柚香を見つめて来た聖…。
「ねぇ、柚香は子供は嫌い? 」
「え? 子供? 」
「うん。…俺と柚香の子供、欲しいなって思っているんだけど」

 子供の事なんて考えたことがなかった。
 目的を果たしたら、この結婚生活は終わるつもりだから…。
 
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