結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …

 戸惑っている柚香をギュッと抱きしめた聖。
「子供の事はゆっくり考えても構わない。でも…もっと柚香と沢山繋がりたい…」
 そっと柚香の顎を取った聖は優しくキスをした。

 重なった唇から伝わる温もりが心地いい…。
 
 程よく吸い上げられると、スルっと柚香の中に聖が入って来る。
 口の中を全部覆いつくされるように求めあう2人…。

 キスが深くなると、お互いのパジャマを脱がせて行く…。

 首筋から優しく這って来る聖の唇が心地よくて…
 心では「ダメ」と言っている自分がいるのに、何故か受け入れてしまう自分もいて。
 
 伝わって来る体温が心地よくて…身を任せてしまった…。

「柚香…俺を許してくれるか? 」
 そう尋ねられ感じている目で聖を見つめた柚香。
「…俺は随分と勘違いをしていた…。でも今は、お前の事が本気で好きだ…」
 そう言われると、柚香の胸がズキンと痛んだ。
「お前に嫌われても、この気持ちが変わる事はないと思う…。だから、好きでいさせてほしいずっと…」
 
 言葉と同時にグイッと入って来た聖を感じた柚香。

 体の奥の方まで「愛している」と伝わってきて、その気持ちを拒否する事ができなかった。

 この人を…愛していいの? 愛されていいの? 
 柚香はどうしたらいいのか分からなかった。
 だが…
 初めの気持ちとは違うのは確かだった。

「柚香…愛しているよ…」
 
 額と額をくっつけて聖が言った。
 柚香は小さく頷くしかできなかった。
 まだ答えがハッキリしないから…。



 翌日。
 柚香は少し遅く起きて来た。
 いつも早く目が覚めてしまうのに、何故か昨夜はとても安心してぐっすり寝ていた。

 目が覚めると、ちょうど聖も目を覚ましたところで。
「おはよう」
 と、穏やかな表情で言われて、柚香は照れてしまった。
「おはようございます…」
 少し伏し目で挨拶を返した柚香。
「顔色いいね」
「え? 」
 スーッと顔を近づけてきて、ニコッと微笑んだ聖。
「ぐっすり眠れたようだね、いつも朝起きても顔色悪かったから無理しているんじゃないかって心配していたんだ」
「…ごめんなさい…よけいな、心配をかけてしまって…」
「そんな事、気にしなくていいじゃないか。夫婦なんだから、お互いの事を気遣って当たりまえだから」

 言いながらベッドから出た聖。
「ゆっくり起きてきていいぞ。うちには、お手伝いがいるから朝の支度はしてくれるんだから」

 何故だろう…。
 聖の言葉がとても優しく感じて、心が軽くなってゆくのを感じる…。

 柚香はゆっくりと身支度を整え、着替えを済ませて洗面所へ向かった。
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