結婚は復讐の為だった…いつのまにか? …
復讐13

 しばらくリビングのソファ―に座って、聖龍は呆然としたまま何も喋ろうとしなかった。
 愛香里が殺されてから、体調を崩していた聖龍だったが、ずっと泣いたところを見たことがなかった。
 泣きたくても涙も枯れてしまったようで、茫然となってしまったようだ。

「父さん…」
 聖が声をかけると、聖龍はゆっくりと目を向けてくれた。

「父さん。…俺は、この先もずっと父さんの子供でいるから」
「聖…実は…」
「何も言わなくていいよ。俺、全部知っているから」
「え? 」
「柚香と婚姻届けを出すとき、戸籍を見ているから。俺が養子である事は知っているよ」

 知っていたのか? 
 小さくため息をついた聖龍…。

「戸籍を見る前から、なんとなく感じていたよ。父さんが、どこか他人を見るような目で俺を見ていたし。俺は、父さんにも母さんにも似ていないし…。柚香が持っていた戸籍抄本も見たんだ。…柚香も養女で、柳田さんは育ての親だった…。納得したと言うか、血の繋がりはどうでもよくて。父さんが、俺の事をずっと育ててくれた時間を信じようって決めたから」
「聖…。すまなかった…」
「何を謝っているの? 俺の事、父さんの子供にしてくれて嬉しいから。父さんが、あの時、柚香と離婚しろって言って来たから俺は目が覚めた。本当は、柚香の事がずっと好きだったんだって気づいたんだ。憎んでいると言い聞かせて、付き合い始めた時は嬉しくてこんなに心が軽くなるなんて不思議だって思っていたから」
「…有難う、聖…」

「俺の本当の両親って…もしかして、柚香の本当の両親だったりする? 」

 ちょっと迷た目を浮かべた聖龍だったが、ゆっくりと頷いた。
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