クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
まさかこの距離でそんなふうに思う日が来るとは。


無事に生理用品を手に入れて、マンションを目指す。


マンション前の信号を渡り終えてなんとかなったと思ったそのとき、「どうしたんですか?」という男性の声が背後からして背筋が凍った。

何度も聞いたこの声の主は、藤野(ふじの)さんに違いない。

三十代後半だと思われる眼鏡をかけた細身の彼は、以前勤務していた神奈川県の店舗に一年ほど前から通いだした常連客だ。

私に好意を抱いてくれて、半年ほど前に告白されたものの、私のほうに交際する気はなくお断りしたら、しつこく絡んでくるようになった。

転勤したのも彼がストーカー化して、当時住んでいた家まで訪ねてくるようになったから。

店での待ち伏せもどんどんエスカレートしたため、店長と相談のうえ本社に掛け合い配置換えをしてもらったのだ。

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