クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
引っ越し屋に事情を話して夜逃げ同然の引っ越しを済ませ、神奈川の店舗のスタッフにも転勤先は伏せられていたはず。

それなのにどうしてここにいるの?

恐怖で振り返ることができず、立ちすくむ。
この脚では逃げようにも走れない。

そうしているうちに、回り込んできた藤野さんが私の前に立ち、顔をのぞき込んできた。


「こんなにひどいケガ、どうしたの? 買い物なら、言ってくれれば僕が行ってくるのに」

「あなたには関係ありません」


どうしたらいいのか必死に考えるも、恐怖で頭が真っ白になり反論するだけで精いっぱいだった。


「冷たいこと言わないでよ。僕たちの仲じゃないか」

「……交際はお断りしたはずです。もう私にかかわらないで!」


とにかく離れなければと松葉杖を前に出したものの、腕にかけてあった買い物袋を取り上げられてしまった。


「返して」
「僕が持つよ。ほら、つかまって」
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