クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
電話ではあれほど丁寧だったのに、堀田先生の声は凄(すご)みがあり私まで背筋が伸びる。


「な、なんだよ」


堀田先生が怒りに満ちた目で藤野さんをにらむと、怖気づいたのか藤野さんは顔を引きつらせて走り去った。


「おっと」


ふと気が抜けて座り込みそうになると、堀田先生が支えてくれる。


「大丈夫?」
「は、はい。あっ、あり、ありがとうござ……」


恐怖のあまり歯がカタカタと音を立てていて、うまく話せない。


「とにかく落ち着こう。住まいはこのマンションだよね」


彼は目の前のマンションを見上げて言う。


「……はい」

「さっきの男、このまま引き下がるとも思えない。ここにいるのは危険だ」

「そんな。あの人のせいで逃げてきたのに」


引っ越し費用もバカにならなかったし、このケガでまた物件探しをしなければと思うと気が重い。

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