クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
それに……夜逃げしても見つかるなら、どうしたらいいのだろう。


激しく動揺した私は、泣きそうになるのをこらえて歯を食いしばった。
すると、フワッと抱き寄せられてひどく驚く。


「俺が守るから心配いらない」
「えっ?」
「震えてる……。大丈夫だ。全部俺に任せて」
「先生……」


優しい言葉にこらえていた涙が流れた。
彼が来てくれなければ、今頃どうなっていたことか。

背中に回した手を緩めて私の顔をのぞき込んだ彼は、大きな手でそっと涙を拭ってくれる。


「今から部屋に行って、当面必要なものをカバンに詰めて。近くに車を停めてあるんだけど、玄関に回すから。とりあえず一緒に出よう」

「一緒に?」

「そう。まだどこかで見ているかもしれない。なにか起こる前に逃げたほうがいい」


彼の言う通りだ。
職場や住まいを変えても追ってくる執着を見せるのだから、きっとどこかで見ているはずだ。

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