クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
巻き込むのは申し訳ないけれど、この不自由な体ではどうにもならない。
頼らせてもらおう。


「はい」
「とにかく部屋まで一緒に行くよ。俺が迎えに行くまで絶対に玄関を開けないで。いいね?」
「わかりました」


事故のときてきぱきと処置していた彼らしく、即断即決という感じで私に指示を出す。


「はい、持って」


そしてなぜか松葉杖を持たせたかと思うと、私の背中と膝裏に手を回して抱き上げた。


「先生?」
「松葉杖、慣れないと歩けないだろ?」
「でも……」


こんなふうに横抱きにされたのは初めてで、恥ずかしさのあまりたちまち耳が熱くなる。


「あっ、背中痛い?」
「それは大丈夫ですけど、歩きますから。重いですって!」


ドクターにこんなことまでさせてはいけないとそう言ったのに、彼は構わず進む。


「救急って、力もいるんだよね。だから全然平気。こんなときくらい頼って」
「でも!」
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