クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
どうやらこれも演技のようだ。

そんな念入りに見せつけなくてもと思ったけれど、藤野さんへのけん制という意味では正しい対処なのかもしれない。
とはいえ、受け止めきれず目が泳ぐ。

一方彼は平然とした顔で再び歩きだした。


そのままマンションに入ってエレベーターに乗り、ようやく私の部屋の玄関で下ろしてもらえたものの、心臓が高鳴ったまま静まってくれない。


「傷はどう? まだ痛い?」
「はい。右腕がすごく」


藤野さんの接触で動転していたけれど、右腕の痛みは相変わらずで、指先まで痛い。


「うん。ここを離れてから診察する。着替えだけ用意できる?」
「できます」


そう答えると、真剣な表情の彼はうなずき、私の目線に合うように腰を折った。


「絶対に無理をしないこと。俺だと確認してから鍵を開けること」
「わかりました」
「怖いだろうけど、すぐに戻ってくるから」


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