クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
ほっとして大きく息を吸い込むと、クスクス笑われてしまった。


「だから、呼吸は大事」
「そうでした。……あの、これからどちらに?」


藤野さんを振り切ることしか考えていなかったけれど、どこに向かっているのだろう。


「俺のマンション」
「えっ?」
「自分の女くらい守らないと」
「いえ、それはあの……」


藤野さんから引き離すための嘘だったのだから、もういいのに。


「あの男にずっとストーカーされてるの?」
「はい。実は――」


それから私は、プレジールに勤めていることや、藤野さんとの今までの経緯をすべて打ち明けた。


「変なのに引っかかったな。世の中にストーカーという存在がいるのは知ってるけど、ここまですごいのは初めてだ。鳥肌立った」


私もさっき藤野さんに声をかけられた瞬間を思い出すと、今でも全身の肌が粟立(あわだ)つ。


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