クールな救急医は囲い娶ったかりそめ妻に滾る溺愛を刻む【ドクター兄弟シリーズ】
「吉木さん、優しいんだろうね。その優しさを愛だとはき違えるやつがいる」
「別に優しくはないかと……」


そう口にしたけれど、藤野さんが私に執着するようになったのは、彼がジャケットにコーヒーをこぼしたのを見て、染み抜きの応急処置をしたのがきっかけだ。

もちろん藤野さんだからそうしたわけではなく、老若男女問わず同じように対処したと思う。

あれを彼だけに向けた優しさだと勘違いされたとしたら、なんとも複雑だ。


「このまま引き下がるとは思えない。結婚宣言までしたし、結婚する?」
「は?」


彼がなにを言いだしたのか理解できず、間が抜けた声が出た。


「それくらいしないとあきらめないと思うぞ。結婚してもどうだかあやしいけど……」
「やめてください」


想像もしたくない。


「ごめん。でも俺、妻は全力で守るよ」
「さっきから、なにをおっしゃっているのかわからないのですが」


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